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見上げれば 「天井」

天井と言えば、子供のころ寝て見る天井の木目が何かに見えてきたり、板の貼り方の規則性が気になったり、そうしている間に何時の間にか寝てしまっていた記憶が今も残っています。良質な材料は人の手で大切に育てられていることや、ものづくりは職人たちの誇りであること、天井一つにしても創意工夫がなされていることを、大人になってから少し知りました。今回は木の家の天井を紹介します。


「あれこれ天井」
天井は敷地や暮らし方、そして好みによって設計段階で検討されます。高さ・形状・素材など、それぞれの仕様により部屋の印象は大きく変わります。例えば、一階の部屋に陽が入りにくい敷地の場合、吹抜けを設け二階からの採光を得たり、視線が低くなる床座の和室では天井を少し低くし落ち着いた空間をつくります。また、庭や借景のある家には、風景を取り込めるよう開口部の高さから天井高を決めたり、好みの木材で板張りにすることもあります。天井の高さや形状は外観にも関係し、建物全体にとって格好の良い高さ関係が守られているかも大切です。こうして決まった仕様を、次に大工や職人達が形にしていきます。

*下記、タイトルをクリックして頂くと施工実例をご覧頂けます。


大きな桜の木がある
小さな家
大きな桜の木がある小さな家 板張り天井
材質:ラワン

大きな蜜柑の樹のある家
 
大きな蜜柑のある家 化粧張りオイル仕上げ
材質:ラワンベニヤ

南禅寺の家 トヨダヤスシ
建築設計事務所
南禅寺の家 左官仕上げ
材質:珪藻土

玄関土間に
薪ストーブのある家
玄関土間に薪ストーブのある家 杉板化粧張り登り天井
材質:杉

ひらかた京町家
 
ひらかた京町家竿縁天井
材質:杉


月見台のある家
 
月見台のある家 化粧張りオイル仕上げ
材質:シナベニヤ

兵庫県淡路島
「洲本の家」
化粧垂木天井
材質:桧

次世代に住み継がれる家
 
次世代に住み継がれる家さび丸太を仕込んだ巾広杉板天井
材質:源平杉


「梁あらわし天井」
吉野杉・桧の梁をそのまま「あらわし」で使います。「あらわし」とは、構造材をそのまま意匠としても見せることで、力強く、鉋で仕上げた木肌は淡紅色で香り高く木の家の象徴となります。 大工は製材所から運ばれてきた構造材を、木配りし使う場所を見定め、墨付け、刻み、鉋で仕上げます。この工程が、梁あらわし天井の要処の一つとなります。

吉野杉と桧の丸太組の力強い家
吉野杉と桧の丸太組の力強い家
丸太組梁あらわし
材質:桧(丸太)杉(梁・天井板)

赤松の丸太梁がある力強い家
赤松の丸太梁がある力強い家
丸太組梁あらわし(伝統的加工法)
材質:赤松(丸太)杉(梁・天井板)

中庭のある家
中庭のある家
リビング:杉梁あらわし
キッチン:杉板目透し張り
材質:杉

「舟底天井・吹抜け」
舟底天井とは、船の底の形をした天井を意味し、空間が広く高く感じることができます。またリビングなどに設ける吹抜けも同じく開放的な空間をつくります。

京都の街を見渡す「西山山麓の家」
京都の街を見下ろす「西山山麓の家」
葦張り(舟底天井)
材質:葦・杉(梁)


景色を切り取る家
景色を切り取る家
化粧垂木あらわし(舟底天井)
材質:杉


木の温もりを感じる「三宅八幡の家」
木の温もりを感じる「三宅八幡の家」
大きな吹き抜け


鹿ノ台の家
鹿ノ台の家
天井兼2階床の杉厚板一発張り・一部吹き抜け
材質:杉厚板


「板張り天井」

同じ板材でも節の有り無しや、材料の違いはあります。大工は、良い材は目を引く所へ、そうでない材は目立たない所へと、それらを木配りしまた納まりの良い割付寸法を計算します。

生まれ変わり住み継がれる 終の棲家
生まれ変わり住み継がれる 終の棲家
杉板目透かし張り
材質:杉

朱雀の家
朱雀の家
合板化粧張り塗装なし
材質:ラワンベニヤ材
木曽三岳奥村設計所

片流れ屋根の小さなの家
片流れ屋根の小さな家
杉板目透かし張り
材質:杉

大工の手から離れ完成してからは、床や家具などと違って直接に触れ感じる事はなくとも、手が届かない天井によせた思いは、木の家の心地よさへと繋がっているように思います。