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京町家再生工事「朝妻町の家」001

 

京町家再生工事「朝妻町の家」

設計:熊澤安子建築設計室
竣工:2021年5月

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この建物は「トンネル路地」の奥に建つ、間口2.5間、奥行3間強、延床面積20坪の連棟の「ツシ2階」の小さな京町家です。幅1間ほどの路地には、5軒の町家が面して建ちます。 この家は、大正期に建てられたと思われる伝統構法の京町家で、すべての柱が傾き、沈下していましたが安全を確保するために構造補強し改修しました。 設計監理は、女性建築家の「熊澤安子」さん、施工がツキデ工務店で、それぞれの持ち味を生かした協働作業で再生しました。 路地に面する建物の正面は、桧の「腰板張り」に京風の「出格子」を設けるなど、京町家ならではの外観仕上げです。

この建物は「トンネル路地」の奥に建つ、間口2.5、奥行3間強、延床面積20坪の連棟の「ツシ2階」の小さな町家です。

玄関には、半坪の踏み込み土間があり、そこに2階への折り返しの階段が架かります。

再生前のこの町家の平面構成は、一般的な京町家のそれと比較して極めて特殊で、「通りニワ」が無く、土間は半坪の踏み込み土間のみでした。

15.6坪と小さな鍵型の敷地の1階の奥には坪庭があり、庭に面して数寄屋風に仕上げた3畳弱の「庭座」とそれに隣接する4畳半弱の床の間を設けた「座敷」があり、狭いながらも庭と一体となった風情ある空間に仕上がっています。

座敷の天井は、「女竹(めだけ)」の「竿縁天井」で天井板は赤杉の「柾板」です。

座敷と庭座は、引き込み障子で仕切ることができます。 床の間の「床框」は、栗材の漆塗りで、お施主様のお父様が何度も重ね塗りし仕上げてくださったものです 。

坪庭には、「さらし竹」を用いた「待合」があります。

座敷とつながる一段上がった板の間。 天井は、既存の梁を現しにした「大和天井」。路地に面する「出格子」には、「地袋」を設けています。

玄関を入った正面の「赤杉の柾板」を用いた「舞良戸(まいらど)」の奥には、洗面と浴室があります。 女竹を「藤づる」で編んだ「下地窓」は、熊澤さんが自ら編んだものです。

浴室の壁は一部タイル張り、その他の壁・天井には水に強い「サワラ」の板で仕上げています。

2階の階段ホール

2階に設けた造り付けのコンパクトなキッチン

キッチンの奥のトイレ

住まい手が集う居間などは2階に設け、「ツシ2階」の天井の低さを補うために、屋根断熱にし、既存の小屋梁・地棟・垂木・野地板を現しにした勾配天井です。

居間の窓から見える向かいの家の甍(いらか)がきれいです。

狭いがゆえに工夫し、遊び心も盛り込まれ生まれ変わった京町家、さてこれからどのように活用されていくか楽しみです。