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【第4話】この木、あの木の話し

「この木なんの木やと思う?」

事務所の一枚板の打合せテーブルを指して、築出社長が質問したのは、新入社員の面接の時でした。
答えられずに困った様子を見て社長は「松や」と答え、楽しそうに木の話をはじめます。
建築の学校だけでは学びきれない、木のこと、木組みのこと、大工のことが木造建築「木の家」の要となります。
そして、好みの木をみつけて気に入った場所に使うことは、家をつくる楽しみの一つです。
今回はツキデの「木」の適材適所への使い方を一部紹介します。

杉は木材の中でもとりわけ柔らかい材で、木目は美しく肌触りはしっとりと気持ちが良い。
少々の凹みキズや汚れは日々の暮らしに馴染み、使い込むほどに色艶は増し、それらの豊かな表情は住まいの味わいとなってゆきます。
節のあるなし、多い少ないを場所や好みによって使い分けます。

1階リビング
2階寝室と納戸
吉野杉の赤身の天井板
Jパネル

杉Jパネル(杉3層クロスパネル)と言って、間伐材を利用して作った12mm厚の杉板3枚を重ね合わせた材料で、構造用面材として使われると共に、テーブル・階段材などにも使われます。

階段の踏板に
テーブルの天板に
希少な一枚板

植林された山の木ではなく、永い年月を経て大径木となった天然の希少な木。それらの木からとった、巾広の一枚板は、寺社やお屋敷の座敷などに用いられていましたが、時代の移りかわりの中で生産性と需要の高い杉・桧などの植林が進む一方で、天然の大径木は数を減らしてきました。希少な一枚板を大切に適材適所に使います。

玄関の敷台 材質:赤松
玄関の上り框と敷台 材質:欅(ケヤキ)
テーブル 材質:栂(トガ・ツガ)
カウンター天板 材質:南洋桜
階段兼テレビ台 材質:松
この木、あの木
洗面台天板 材質:タモ

【タモ】 洗面回りはやはり水が飛び散ります。木には塗装を施していますが、さっと拭ける台ふきを常備しておくと、木は長持ちします。

ハーフユニットの壁・天井 材質:桧

【桧】 古材の桧を鉋で削りなおすと桧の香りがします。木はいつまでも生きているのです。桧張りの浴室は時を経ても香ります。

床 材質:カエデ
床 材質:栗

【カエデ・栗】 杉や桧に比べてかたくキズがつきにくい。サラッとした木肌は夏場に心地よい材料です。

天井 材質:杉

【杉】 40cm程ある巾広の天井板

日本各地の昔の家は、その地域特有の建て方をしています。材料もその地域にある木・土・石などを使い、その風土に合った家が建てられました。山間では、建築に適した土が少ないためか屋根・壁には豊富にある木が使われます。たとえば長野の木曽地方では屋根には水に強いサワラのヘギ板(木の繊維方向に薄く割った板)を重ねて張り、丸太と石でおさえます。風土に根差した家づくりにはその地域の知恵が詰まっています。

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