【第13話】ひとつ屋根の下で「 二世帯同居の家 」
其々のあこがれの家、異なる暮らし食事の好みも違う二つの家族が、一棟ひとつ屋根の下で、心地よい暮しを実現するための住まいづくり。今回は、木の家の二世帯同居の家を紹介します。
一階には親世帯が、数寄屋風の玄関に梁あらわしの居間、大きな開口部には木製建具とその先には雑木の庭を配し、夏には風の通り抜ける山里の家のように。二階の子世帯には、畳敷きのリビングから続くデッキ、景色が遠くまで広がり、小さいながら開放感のある海の家のように。一棟に二つの世帯、あこがれる家づくりのはじまりは、互いの暮らし方をあれこれ話し合い、一緒の生活を想像します。その中で、玄関、リビング、キッチン、バス、外部や庭も…共有したい空間や専用がよい設備などを考えます。また、家族の成長で変化する未来にも思いをめぐらせます。
大家族からいつしか核家族へと移り変わった時から、再び「近居」や「二世帯居」などと、家族の関係性も変化してきました。お互いの生活に深く関わらないが、何かあれば直ぐに駆けつけられる距離には、お互いへの思いやりが伺えます。二世帯同居の家は、それを建物の工夫で、同じ敷地内や同じ棟で考えます。違う生活スタイルを尊重しつつ、頼ったり頼られたりをし易い距離感を形にしていきます。
同じ敷地や隣り合った敷地に別棟での家づくり。両世帯がそれぞれ別の生活空間で暮らすため、気配は感じつつも干渉することは少なく、近くに住んでいる安心感もあります。
玄関や浴室などの設備を共有している二世帯住宅では、プライベートな空間をわける為にサブリビングをつくります。全館暖房とすることで、階段室や廊下がサブリビングの一部となります。また、互いのプライベート空間を通らずに共有の設備スペースに行けるなどの、生活動線を計画します。
「親」と「子」の二世帯を超えて、また次の世代、または違う家族へと、未来の暮らしに柔軟に対応でき、そして家守りしやすい住まいを知恵と工夫と技術を合せて、住み継がれるようにとつくります。