【第2回】冬の越前海岸
2024.1.15
「越前海岸」は福井県の中部、敦賀市の「杉津(すいづ)」あたりから坂井市三国の「東尋坊(とうじんぼう)」あたりに至る日本海に面する海岸。
日本海の荒波によって創られた奇岩断崖が続き、国定公園にも指定されている。
天気がいいにも関わらず荒々しい冬の越前海岸。
2015年1月撮影
「杉津」から越前海岸沿いを北に12km程走ると、南越前町の「河野」という小さな漁村がある。
江戸中期から明治中期にかけて、大阪と北海道を結ぶ商船「北前船」が隆盛をきわめた。
ここ「河野」には、かつて日本海沿岸地域を代表するその北前船の船主の家「右近家」がある。
2015年1月撮影
敷地の道をはさんで、山側に主屋・土蔵・茶室など5棟、海側に長屋門と土蔵4棟が建っている。
現在「右近家」の建物は、ご当主のご好意により、北前船の資料館「北前船主の館」として公開されている。
2015年1月撮影
そして「河野」から海岸沿いの国道305号線をさらに17km程北上すると越前町「小樟(こころぎ)」という漁村がある。
越前海岸沿いを走る国道沿いの集落の多くがそうであるように、ここ「小樟」でも急峻な山肌が海岸線近くまでせまり、わずかばかりの平地とせまる山肌に張り付くように密集して家が建ち並び、家々の玄関を結ぶ路地が迷路を形成されている。
2017年12月撮影
越前海岸にある港の一つ「小樟漁港」。
2017年12月撮影
その漁港のそばに「えちぜん」という漁師さんが営む食事処がある。
私は、2014年11月27日に朝日新聞の夕刊に掲載されていた「海の轍(わだち)」という記事でこの店を知り訪れた。
2015年1月撮影
越前を代表する海の幸といえば春はホタルイカ、夏はイカ、そして冬は何といっても「越前ガニ」。
2015年1月撮影
2017年12月撮影
そしてその「食処えちぜん」で、作家の「開高健」が越前に来た時うならしたという「せいこ丼」を初めていただいた。
「せいこ丼」は、越前ガニのメスである「せいこガニ(こっぺガニ)」2~3杯のミソ・内子・外子(卵)そして足の身を豪快に盛った丼ぶり。
せいこガニの漁期は、11月解禁から12月いっぱいの2か月しか味わえない貴重な逸品。
この日は1月のはじめだったが、幸運にも残っていたものをいただけた。
2015年1月撮影。
そしてもう一品、越前ガニと並ぶ2大ブランドの「越前カレイ」。
その活け造りは、地元でしか食べられない漁師料理。
2015年1月撮影。
さばかれても生きているように、口をパクパクさせていた。
2015年1月撮影。
そしてもう一つの越前海岸の冬の風物詩は、「越前スイセン」。
断崖が海にせまり奇岩が続く越前海岸、その荒々しい海岸線とは対照的にこの時期、海岸に面する山肌には可憐な花「越前スイセン」が咲き誇る。
2017年1月撮影。
2022年1月撮影。
2015年1月撮影。
2022年1月撮影。
夕闇が迫る冬の越前海岸。
2017年1月撮影。