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【第7回】水の国「若狭」

2024.3.25

福井「若狭」の地は、いたる所で名水・霊水が湧き出る「水の国」と言われている。

【第7回】水の国「若狭」

私は、湧き水に凝りその水を日常愛飲していた時期が永年あり、車にポリタンクを8本ほど積み、三カ月に2回ほど福井県若狭町の「天徳寺」境内の山間の谷間から湧き出る「瓜割りの滝」の水を汲みに行っていた。
その「瓜割りの滝」の湧き水は、天然ミネラル分も含まれ、1年を通じて水温が11度で、夏つけておいた瓜が割れるほど冷たいという云われからその名が付けられ、環境省指定の「名水百選」に認定されている。

2009年2月1日撮影

京都府木津川市「月見台のある家」

【第7回】水の国「若狭」

「瓜割りの滝」の水中の赤い石は、この水質・水温でのみ生育する、珍しい紅藻類が繁殖したものである。

2009年2月1日撮影

【第7回】水の国「若狭」

「瓜割りの滝」から12km程北西に走った「小浜漁港」の埠頭の横には、「津島名水」と「雲城(うんじょう)水」と呼ばれる湧き水が出る水場がある。
この二つの水場は、目の前が海にもかかわらず、真水が湧き出すことには驚かされる。

2008年12月28日撮影

京都府木津川市「月見台のある家」

【第7回】水の国「若狭」

「津島名水」の水は、地元の人々の生活用水として愛用され、地元の人が用意した茶碗や掃除用のタワシ・スポンジが置かれ大切に管理されている。

2008年12月28日撮影

そしてもう一か所の「雲城水」は、「津島名水」から200m程の小浜漁港沿いから湧き出る水である。
水源は、「遠敷川(おにゅうがわ)」上流の福井県と滋賀県の県境近くにある「上根来(かみねごり)水源の森」とされ、100年かかってこの地に湧き出ると言われ、そのことから「百伝ふ(ももつたう)」と呼ばれ平成の「名水百選」に選ばれている。

2009年3月20日撮影

【第7回】水の国「若狭」

「雲城水」が湧き出る小浜市一番町は、各戸に井戸があるほど地下水に恵まれた場所で、夏は冷たく冬は温かい湧き水が絶え間なく流れ出て、その水は様々な商品にも活用さている。
水場の近くには、「豆腐」・「葛まんじゅう」を売る店がある。

2008年8月9日撮影

【第7回】水の国「若狭」

これは、「百伝ふ」の銘の名水豆腐。

2008年8月9日撮影

【第7回】水の国「若狭」

若狭地方特産の葛(くず)で作られた「葛まんじゅう」は、この水で冷やされ夏の風物詩。店では、冷やされた「葛まんじゅう」と湧き水がいただける。

2008年8月9日撮影

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

小浜漁港から南東に5km程行ったところに祀られる「若狭姫神社」。
ここにも「桂の井」という霊水が湧く。
この井戸の水は古来、「若狭の若返りの水」として知られ、延命長寿を保つと伝えられている。

2009年2月1日撮影

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

本殿の背後の広葉樹の森は、県の天然記念物に指定されており、この鎮守の森が伏流水を蓄えている。
そして本殿脇の「千年杉」は高さ30m、不老長寿、子孫繁栄の象徴とされて、まさに霊水が育んだ杉といえる。

2009年3月20日撮影

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

「若狭姫神社」から南に2.5km行くと右手に「神宮寺」の山門が現れる。
2003年7月にここを初めて訪れた時、山門から延びる参道は芝生を敷き詰めたような道でとても気持ちのいい道であった。

2003年7月20日撮影

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

「神宮寺(じんぐうじ)」の本殿。
神宮寺は、奈良時代初期に創建された天台宗の寺で、本殿は重要文化財に指定されている。この寺は神仏習合の寺、本殿には神さんと仏さんが奉られていて、本殿入り口にはしめ縄が飾られている。

2009年2月1日撮影

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

そしてこの寺は、奈良の東大寺二月堂の「修二会(しゅうにえ)」、「お水取り」で二月堂の前の井戸「若狭井」から汲み上げる神事での水を送る「お水送り」の寺である。
境内の樹齢五百年の椎(しい)の木の脇に建つ小屋の中に、「お水送り」の水「お香水」が湧き出る。

2009年2月1日撮影

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

大和に春をつげる「お水取り」は3月12日。「お水送り」はその10日前の3月2日に、境内の水場から「お香水」を汲み上げ、寺の前を流れる「遠敷川(おにゅうがわ)」の上流の川の淵「鵜の瀬(うのせ)」から竹筒に入れた「お香水」を注ぎ込む。
「お香水」は淵の下の川底の穴を通って、奈良の東大寺二月堂の「若狭井」まで10日かけ流れていくといわれ、奈良時代から続く1200年以上の歴史ある神事である。

2009年2月1日撮影

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

そんな歴史もある「若狭の水」、まさに若狭は「水の国」である。

2009年2月1日撮影

【第7回】水の国「若狭」| ツキデ工務店「風土をめぐる写真集」

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