竣工:2019年3月
延床面積:167.27㎡(50.6坪)
設計監理:地域計画建築研究所(アルパック)
この園舎は宇治にある社会福祉法人宇治福祉園様が運営されている「みんなのき黄檗こども園」に隣接する土地を購入され計画されたもので、 隣接地は当初竹藪でした。そしてその竹を伐採し、できるだけ竹以外の樹木は残すように計画されています。 木造2階建て延べ床面積が50.6坪の建物で、1階が保育室、2階が職員のくつろぎの場であり多目的スペースでもあります。設計監理は、地域計画建築研究所(アルパック)で木構造の設計は、ツキデ工務店が担当させていただきました。
できるだけ既存の樹木を残し建物が建てられています。これらの木々は子供たちの絶好の遊び場となるでしょう。
敷地内には1.5mほどの段差があり、急なのり面になっていたのですが、「庭づくり三宅」が、既存の樹木を生かしながら、杭を打ち敷地内にあった竹やフェンス、ツキデの倉庫にあった古材や丸太、梁の切れ端などを使い「しがら組」で土留めをし、スロープや階段を作り作庭しました。
木々の間に設けた桧の厚板張りの広々としたテラス
今回の建物の構造的な特徴は、木造建築であり構造材・造作材に吉野の桧・杉を使用するともに、桧の太い丸太を用いていることです。 そしてもう一つの特徴は、ケヤキ・栗・桧・杉4種類の210mm~240mm角の太い柱を14本使っていることです。 丸太と太い柱を使い力強く見せ、無垢の木をふんだんに使うことで森の中にいるような園舎にしようというのが狙いです。
木々の間に設けた桧の厚板張りの広々としたテラス
引き込み式の木製建具を開けると園庭へと続きます
かわいらしい幼児用のトイレ
2階は、ミニキッチン・浴室もある先生方のくつろぎの場なのですが、それ以外にも多目的に使えように計画されています。
昔は、この辺りでは丸太といえば松でしたが、近年は太い松材が手に入りにくくなり今回は桧の丸太を使いました。 桧の丸太を作業場で加工している様子。
お茶などを楽しめるようにミニキッチンと洗面・浴室も2階に設けました。
小屋裏を利用したロフトもあります。正面の黒っぽい丸柱は、お寺のケヤキの柱だった古材を再利用しました
南側の3間の大開口からは、広々としたベランダに繋がります
ベランダには、竹藪を伐採した時現れた大きなカエデの木をそのまま残しました。
この工事中、見る機会が少ない大工の手によるこの建物の加工風景を園児たちに是非見せたいと、理事長と園長先生に提案し「刻み見学」を実施しました。 三室戸・黄檗こども園の園児たち80名ほどが見学し、カンナかけなども体験してもらいました。 子供たちが、この園舎で木のぬくもりを感じ、木が好きになり、将来木にかかわる仕事を携わってくれればと願うものです。