建築知識2005年10月号
「建築知識」(エクスナレッジ)10月号 「優秀工務店倶楽部」のページに当社が紹介されました。
高度な施工技術を活かして天然乾燥の吉野スギを使う
京都府宇治市のツキデ工務店がこだわっているのは、地場産材の構造材への利用である。北山スギをはじめ京都周辺では、手入れの行き届いた林産地が多数存在するが、同社が採用しているのは、奈良県の吉野スギである。 吉野スギは、奈良県吉野郡全域で採れるスギ材を指す。古くから銘木の産地として有名で、500年ほど前より人工植林が行われている。同社では、吉野スギの産地ルートを確保、優れた植林技術により曲がりが少なく年輪が細かく径の大きなこのスギを並材に限定して入手することでコストを圧縮、自社設計物件、設計事務所物件を問わず採用している。 また、同社で使用する吉野スギは天然乾燥したものだけを採用している。吉野スギの最大の特徴である色ツヤ、光沢のよさを生かすためである。十分に時間をとって、葉枯らしと桟積みを行っている(柱材などは事前に背割りを入れている)。しかし、天然乾燥では、人工乾燥のように含水率20%を切るレベルまで下げることができないため、同社では設計・施工に際してさまざまな工夫を行っている。 将来の変形に備えた墨付け・手刻みの徹底 天然乾燥材は人工乾燥材に比べて建方から引渡しの間にも若干の反りや歪みなどの変形が起ることがある。そのため、木の特性や将来の変形を考えながら墨付け、手刻みを行うことが欠かせない。 木材の特性を生かした納まり上の工夫 天然乾燥材は納まり上の工夫も欠かせない。単純にビス、ボルトで緊結するのではなく、木の変形などの特性を生かして接合する部位同士が締め合うようなディテールづくりを考える必要がある。そのうえで補助的に金物を使えば、強固な構造体になりうる。図は登り梁に屋根パネルという現代的な工法だが、取合いは手刻みによる継手仕口などで納めている。(山崎)