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奈良 築140年の古民家再生 宇陀榛原の家 Ⅰ

榛原は古くから大和の東玄関口で、大和から伊勢に通じる伊勢街道として江戸時代には往来する人々で賑わった町です。
特に、「伊勢本街道」と「あを越え街道(初瀬街道)」の分岐点は「札の辻」と呼ばれ、旧旅籠の「あぶらや」、道標など宿場町らしい町並みが今も残っています。
この建物は「札の辻」からほど近く初瀬街道沿いに位置し、幕末から明治ごろに建てられたとされる古い町家です。

奈良 築140年の古民家再生 宇陀榛原の家 Ⅰ
街道沿いの町家らしい細格子とつし2階の虫籠窓(むしこまど)の外観はそのままいかされました。
奈良 築140年の古民家再生 宇陀榛原の家 Ⅰ
本物の素材、本物の手仕事でつくられた由緒ある古い家を残したい、寒く暗かった空間を暖かく明るい居心地のよい空間にしたい、安心して住み継いでいける家にしたい、 住まい手の想いによって、家は生まれ変わりました。
奈良 築140年の古民家再生 宇陀榛原の家 Ⅰ
玄関を入ると広がる土間にかかる太い梁と白いしっくいの壁のコントラストが印象的です。
奈良 築140年の古民家再生 宇陀榛原の家 Ⅰ
土間と板間の間に新たに据えられた大きな沓脱石(くつぬぎいし)により家の風格が高められています。
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1階の部屋の天井はかなり低いのですが、吹き抜けを取ることにより圧迫感を感じさせません。吹き抜けの骨太の木組みは圧巻です。

奈良 築140年の古民家再生 宇陀榛原の家 Ⅰ

以前に使われていた古い建具や瓦、桜材の敷居も削り直して使用するなど、出来るだけ使えるものは再利用するよう設計されています。

奈良 築140年の古民家再生 宇陀榛原の家 Ⅰ
お住まいになる方が集めてこられたアンティークの器や家具、照明器具による「しつらえ」は時代を超えた美しさを感じます。
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昔に「おくどさん」があったであろう通り庭の土間に、キッチン・ダイニングが設けられています。
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奥の土間には薪ストーブが据えられています。
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業務用のキッチンの重厚さが骨太の柱梁の空間に映えます。
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中央の柱は腐っていた部分を切り取り、「金輪継ぎ」と言う伝統的工法で「根継ぎ」しています。
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カウンターのケヤキの板もお住まいになる方が集めてこられたものです。カウンター側の床には電気式の床暖房が採用されています。
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小便器は信楽焼という懲りようです。
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谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』の世界を思い起こします。
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低い座敷の天井と、吹き抜けの広くて明るい空間の対比がおもしろく、美しさに息をのみます。
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トップライトから採れる光が白いしっくい壁に映え、束や梁に刻まれた釿(ちょんな)がけをした手仕事のあとの凹凸も浮き上がって味わいがあります。
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外観を特徴づける漆喰で塗られた、虫籠窓(むしこまど)から明かりがもれます。
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奥には中庭があり、家の中から庭の四季を楽しむことができます。
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梁の上には異国の鍾馗さん?
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新築の家にはない長い時を重ねた深い味わいとそれらを活かす技の凝縮された家となりました。